学生・研修医の皆様へ

若者よIVRを目指せ!

日本IVR学会理事長 山門亨一郎 (兵庫医科大学 放射線科)
 

私が学生の頃、外科の先生から「これからはIVRよ」と言われ、IVRという言葉を初めて知りました。当時の金沢大学では、肝がんに対する選択的TACEの良好な成績を報告し始めた頃でした。1987年に卒業後、三重大学の放射線科でIVRに没頭しました。しかし、当時の三重大学でのTACEの5年生存率は3%と惨憺たるものでした。
 2000年に入ると、RFAが出現し、肝がんも完治が期待できるようになりました。三重大でRFAを受けた肝がん患者の5年生存率は66%に向上し、まさに「隔世の感」です。
 RFAに凍結、マイクロウエーブを加えたablation治療は、今後、肺がん、腎がん、骨軟部腫瘍、等に適応拡大されます。がん治療の世界を大きく変えていくでしょう。
 塞栓術も原発だけではなく、転移性肝がんでの有効性が示されてきましたし、子宮筋腫や関節痛、さらには肥満の治療等、良性疾患にも適応が大きく広がっています。圧迫骨折に対するセメント注入は、一瞬で痛みを取ってあげられるので、これからの高齢化社会では大変期待される治療になるでしょう。  IVRは米国では、医学生に最も人気のある科の一つで、多くの若者がIVRを目指しています。今、日本でも色々な分野でIVRの存在感が増しています。近い将来、多くの領域でIVRが標準治療になるでしょう。まさに今、日本でもIVRを目指せば、「隔世の感」を感じられます。若者よ、IVRを目指せ!

掲載日:2022年1月