知っておきたい働き方の勉強部屋

働き方改革

働き方改革の目指すもの
  (厚生労働省HPより) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です。働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。

医師の働き方改革の現状は?
政府による働き方改革推進の対象は医療界も例外ではなく、管理者による労務管理の徹底やタスク・シフト/シェアなどの取り組みが求められています。また、改革実現のためには、管理者および個々の医師の意識改革と行動変容が必須とされています。働き方改革は、医師の健康確保のみならず、医療安全ならびに医療の質向上にも寄与するとともに、魅力ある職場環境を実現することで人材確保が可能となると考えられます。

時間外労働

ー36協定とは?
労働基準法では「法定労働時間=1日8時間以内、週40時間以内」が原則とされています。医療など、複数の職種の現場ではこれはほぼ不可能なため、規制を緩和する目的で労働基準法36条1に準拠する通称「36(サブロク)協定」と呼ばれる労使協定が存在します。2018年の労働基準法改正により、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられましたが、「特別条項付き」として時間を延長する仕組みにより、時間外労働の適正化が不十分になる場合もあります。

ー時間外労働の上限規制とは?
2024年4月から医師にも適用され、勤務医の時間外労働時間は「原則、年間960時間まで」となっています。このため、各医療機関における医師の労働時間短縮計画の遂行が求められています。ただし、救急医療、地域医療支援や教育・研究、自己研鑽などについては例外規定が設けられるとされています (2021年5月時点の情報) 。

ー過労死ラインとは?

病気や死亡、自殺が労働に起因するものだと認定する時間外労働時間の基準です。法律上は、「発症前1ヶ月間に100時間」あるいは「発症前2-6ヶ月間平均で80時間」を超える時間外労働の場合、業務と発症との関係性を認定できるとされています。

―医師の応召義務とは?
応召義務とは、医師法19条に定められた「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とする条文のことを指します。「正当な事由」については、1955年の厚生省通知「医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」により、よほどのことがない限りは拒否不可能と解釈されていましたが、近年、医療崩壊が問題視され、時間外労働との調整が必要とされています。

タスク・シフト/シェア

―医師の働き方改革におけるタスク・シフト/シェアとは?
医師の労働時間短縮・健康確保と必要な医療の確保の両立の観点から、2017年に「医師の働き方改革に関する検討会」が設置され、2019年には勤務医の時間外労働上限規定の制定、他職種へのタスク・シフト/シェアの検討が開始されました。この一環として、時間外労働上限規制が適用される2024年にむけて、医療専門職種の法令の精査と改正を含めた議論が進んでおり、2021年5月に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」が成立しました。

―放射線科関連のタスク・シフト/シェアの概要は?
関連する医療専門職種の学会との協調し、下記のタスク・シフト/シェアが推進される予定です (2021年5月時点の情報)。
  • CT・MRI、RI、IVR、消化管透視、超音波の各部門においてシフトされる内容がある。
  • 放射線科医の業務の多くを占めるCT/MRI/RI検査については、静脈確保と薬剤注入、抜針を診療放射線技師が施行可能となる。
  • IVRの手技に関しては、今後、日本医学放射線学会・ IVR学会・日本放射線科専門医会が日本診療放射線技師会と合同で、シフト内容を含めたガイドラインを作成する。

資料  厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05488.html
   日本放射線科専門医会・医会 HP:https://jcr.or.jp/work/diversity_2021/

ハラスメント

―ハラスメントとは?
広義には「人権侵害」を意味し、種々の状況における言動などによって、相手に不快感や不利益を与え、その尊厳を傷つけることを言います。2020年6月に施行された、いわゆる「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)は、パワハラは許されない行為であることを明記し、雇用者に対してパワハラ防止対策を義務付けました。同時に、セクハラや妊娠、出産、育児、介護に関わるハラスメントへの対応として、男女雇用機会均等法ならびに育児・介護休業法も改正され、様々なハラスメントの防止対策が強化されています。

―ハラスメントの種類
  • パワーハラスメント
    職場で働く労働者に対して、役職や経験、人間関係などで優位性のある人が、業務上明らかに必要のない言動などで精神的・身体的苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為をいいます。
    厚生労働省の指針(2020年)においては「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③まで3つの要素を全て満たすもの」と定義されています。また、代表的な言動の6類型として、①身体的な攻撃(暴行・傷害)、②精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)、③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)、⑤過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)、⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)が挙げられています。
  • セクシャルハラスメント
    職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動により、労働者に不利益があることと定義されています。意に反する性的な言動への対応により労働者が不利益を受ける「対価型」や、職場環境が不快なものとなり就業に支障が生じる「環境型」などの例があります。異性間だけではなく同性間のものや、顧客、患者等の言動も含まれます。
  • マタニティハラスメント
    働く女性に対して妊娠・出産を理由に職場で行われる精神的・肉体的な嫌がらせのことをいいます。
  • ケアハラスメント
    育児や家族の介護を行う労働者に対して育児休業や介護休業などの制度利用を妨害したり、就業環境を害する言動を行うことをいいます。
  • アカデミックハラスメント
    学術的な指導者等が、地位や人間関係などの優位性を利用して行う精神的・肉体的な嫌がらせのことをいいます。
  • モラルハラスメント
    言葉や態度等で繰り返し相手を攻撃する精神的暴力のことをいいます。職場だけでなく、夫婦間や家庭内で問題になることも多いといわれます。
  • カスタマーハラスメント
    カスタマー(消費者、利用者、顧客)から店員に対する、悪質なクレームなどの迷惑行為のことをいいます。
  • SOGIハラ
    性的指向や性自認(Sexual Orientation, SO; Gender Identity, GI)に関連する精神的・肉体的な嫌がらせのことをいいます。

―ハラスメントにあったら
ひとりで悩まずに、自分にあった相談先を見つけましょう。
  • 信頼できる同僚や上司に相談する。
  • 職場のハラスメント相談窓口や人事担当者に相談する。
  • 外部の相談窓口に相談する。
    外部相談窓口の例:厚労省「あかるい職場応援団」https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/inquiry-counter
  • 相談の際には、事実関係を整理しやすいように、ハラスメントだと感じたことが起こった日時、どこで起こったのか、どのようなことを言われたのか、強要されたのか、誰に言われたのか、強要されたのか、そのとき、誰がみていたかなどを記録しておくとよいでしょう。

資料  あかるい職場応援団 HP:https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/inquiry-counter
    法テラス HP:https://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/kouhou/kankoubutsu/kouhoushi_backnumber/49harasumento.html

育児・介護休業法

―育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法は働く人の権利と育児・介護の両立を図るために1991年に制定され、これまでに何度か改定されています。2022年4月、2022年10月に施行された改定は注目したい内容です。

―雇用環境整備・個別の周知・意向確認措置の義務化(令和4年(2022年)4月1日施行)
妊娠出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する事項:育児休業・産後パパ育休に関する制度、申し出先、育児休業給付に関すること、会社保険料の取り扱い等:について、周知と休業の取得意向の確認を個別に行わなければなりません。

―産後パパ育休(出生時育児休業)の新設、育児休業の分割取得(令和4年10月1日施行)
産後パパ育休は令和4年10月から新しく施行されており、子の出生後8週以内に最大4週間まで、分割して2回取得可能です。取得の例等については下記のリンクを参照して下さい。

資料  育児・介護休業法改正ポイントのご案内:https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/000977789.pdf
    育児休業ミニリーフレット:https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/000977791.pdf

介護をすることになったら

―介護休業とは?
労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休暇です。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。介護休暇期間中の介護休業給付金については最寄りのハローワークに確認ください。

資料:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/closed/index.html

―介護休暇とは?
労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。取得できる日数は、対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日までです。有給、無給の取り扱いは事業所によります。

資料:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/holiday/index.html